自治体の地域PRを成功させるコツ!事例や動画活用のポイントを紹介
人口減少が進み地域経済も停滞している自治体にとって、地域PRは地域活性化につながる重要な施策の1つです。
しかし、近年は地域のプロモーション活動にもデジタルツールや動画を活用するケースが増え、より戦略性が必要になってきています。
そこで本記事では、自治体が取り組むべき効果的な地域PR、プロモーションを成功させるポイント、動画活用のメリットなどを解説します。
▶監修・解説:北川哲也氏
補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。
2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。
●監修者の詳細な経歴はこちら
地域PRとは?重要性とその役割
地域PRとは、自治体が地域の魅力や特色を効果的に発信し、地域の価値を高める取り組みです。効果的な地域PRは、地域の認知度向上や観光客の増加、移住者の獲得につながり、地域経済の活性化に貢献します。近年の人口減少や高齢化、都市部への人口集中といった社会問題を背景に、ますます重要度が高まっています。
地域PRの役割は多岐にわたるため、特産品や文化、自然環境など、地域固有の資源を活かしたPRは、他地域との差別化を図る上で重要です。
観光庁においてもインバウンドの回復を図るため、「観光再始動事業」をはじめとしたさまざまな精度が展開されており、活用することで地域PRを強力に推進できます。
地域PRの基本概念と目的
地域PRの主な目的は、地域の魅力を広く効果的に発信することで、観光客や移住者を増やすことです。単なる情報発信にとどまらず、地域の独自性を強調することによって、観光客や移住者、企業を惹きつけることができるでしょう。
また、地域PRによって地域のブランド価値が向上すれば、住民の地域に対する誇りや愛着が深まり、地域コミュニティの結束力が高まります。同時に、外部からの注目度も上がり、観光客の増加や移住者の獲得につながる可能性が高まるでしょう。
さらに、地域PRは地域の特産品や文化を広く発信する役割も担っており、地域経済の活性化にも役立ちます。特産品の販路拡大や観光収入の増加は、地域の雇用創出にもつながり、長期的な地域発展の基盤となります。
地域PRがもたらす経済的効果
効果的な地域PRにより、その地域ならではの魅力が広く認知されることで、観光客の増加が期待できます。これは宿泊施設や飲食店、土産物店など、観光関連産業の売上向上につながり、新たな雇用を生み出す原動力となります。
また、地域PRは地域特産品の販路拡大にも大きな効果をもたらします。地域の特産品や伝統工芸品などを効果的にアピールすることで、全国、さらには海外への販路開拓が可能です。これにより、地元の生産者や事業者の収益が増加し、地域経済の底上げにつながります。
さらに、地域PRは外部からの投資を呼び込む効果も期待できます。地域の魅力や潜在的な可能性を効果的に発信することで、企業誘致や起業家の移住を促進し、新たな産業の創出や既存産業の活性化につながるでしょう。
地域PRと住民参加の重要性
効果的な地域PRを実現するためには、地域住民の積極的な参加と協力が不可欠であり、それによって地域の一体感が醸成されます。
住民参加型の地域PRは、単なる情報発信にとどまらず、地域の魅力を再発見し、共有する機会を提供します。例えば、地域の歴史や文化に詳しい住民が観光ガイドとして活躍したり、地元の若者がSNSを活用して地域の魅力を発信したりすることで、よりリアルで魅力的な地域像を描き出すことができます。
また、住民の意見を取り入れることで、より効果的なPR戦略を構築できます。地域住民は、その地域の強みや弱み、独自の魅力を最もよく知る存在です。彼らの視点を取り入れることで、外部の人々にも響く、真に魅力的なPRメッセージを作り上げることができるでしょう。
さらに、地域イベントやワークショップは、住民の関与を高める絶好の機会となります。例えば、地域の特産品を活用した料理コンテストや、地元の自然を生かしたアウトドアイベントなどを通じて、住民が主体的に地域の魅力を発信する場を設けることができます。
これらの活動は、地域の一体感を高めるだけでなく、新たな観光資源の発掘にもつながる可能性があります。
デジタル技術を活用した地域PRの可能性
デジタル技術を活用した地域PRの可能性は、従来の手法を大きく変革し、自治体の情報発信力を飛躍的に向上させています。SNSや動画配信プラットフォームを活用することで、地域の魅力を広範囲に、かつ効果的に伝えることが可能となりました。
これらのツールは、若年層を中心とした幅広い層へのアプローチを可能にし、地域の認知度向上や観光客誘致に大きな役割を果たしています。
さらに、デジタルマーケティングツールを活用することで、ターゲットの行動データを分析し、より効果的なPR戦略を立案することが可能になりました。これにより、限られた予算で最大限の効果を得ることができ、小規模な自治体でも効果的な地域PRを展開できるようになっています。
【出展社・来場者募集中!】
全国から自治体関係者が来場する日本最大の展示会
【出展社・来場者募集中!】
全国から自治体関係者が来場する
日本最大の展示会
効果的な地域PRの方法
効果的な地域PRの方法は、自治体が地域の魅力を最大限に引き出し、広く発信するための重要な戦略です。従来の手法に加え、デジタル技術の進化により、より多様で効果的なPR手法が可能となっています。
また、地域PRの主な手法として、以下の方法が挙げられます。
● デジタルマーケティングの活用
● 地域イベントの開催とプロモーション
● PR動画の制作と活用
● 地域特産品のプロモーション
これらの方法を組み合わせ、地域の特性や目的に合わせて最適な戦略を立てることが、効果的な地域PRのポイントになります。継続的な取り組みと、時代のニーズに合わせた柔軟な対応が必要になるでしょう。
デジタルマーケティングの活用
従来の広報手法に加え、SNSやウェブサイトなどのデジタルプラットフォームを効果的に活用することで、地域の魅力を幅広い層に発信することが可能となっています。
Z世代やミレニアル世代は、従来のメディアよりもデジタルコンテンツを通じて情報を取得する傾向が強いため、SNSを活用した情報発信が効果的です。例えば、InstagramやTikTokなどの視覚的なプラットフォームを用いて、地域の魅力的な風景や文化を発信することで、若者の興味を引き付けることができるでしょう。
また、デジタルマーケティングの利点として、コスト効率の高さが挙げられます。従来の紙媒体やテレビCMと比較して、SNS広告やウェブサイトの運用コストは比較的低く抑えられます。さらに、デジタルツールを活用することで、ターゲットオーディエンスに絞った効果的なPRが可能となり、限られた予算で最大限の効果を得ることができます。
地域イベントの開催とプロモーション
地域の特性や文化を活かしたイベントを企画・実施することで、観光客の誘致だけでなく、地域住民の参加を促し、地域の一体感を醸成することができます。
また、イベントの成功には、地域の独自性を活かすことが重要です。岐阜県高山市では、江戸時代の街並みや伝統文化を活用した体験型ツアーを展開し、国内外からの観光客を大幅に増加させました。このように、地域固有の資源を活用することで、他の地域との差別化を図ることができます。
新しいプロモーション戦略を立案する際は、他の自治体の成功事例を参考にしつつ、自分たちの地域の特性や課題に合わせたアプローチを検討することが重要です。
PR動画の制作と活用
視覚的な魅力を最大限に活かした動画は、地域の魅力を効果的に伝える強力なツールとなり得ます。
まず、PR動画の制作においては、地域の特色や魅力を的確に捉えることが重要です。美しい自然景観、歴史的建造物、地域の伝統文化、そして地元の人々の温かさなど、その地域ならではの魅力を映像で表現することで、視聴者の心に強く訴えかけることができます。
高品質な動画を制作するためには、プロのクリエイターを起用することが推奨されます。経験豊富な映像制作のプロフェッショナルは、地域の魅力を引き出す最適なアングルや編集技術を駆使し、視聴者を惹きつける質の高いコンテンツを生み出すことができるからです。
また、制作した動画の活用方法も重要です。SNSやYouTubeなどのプラットフォームを積極的に活用し、幅広い層に向けて動画コンテンツを発信しましょう。
地域特産品のプロモーション
地域特産品のプロモーションも、自治体の地域PRにおいては重要な役割を果たします。特産品を効果的に活用することで、地域ブランドの向上や経済活性化につながり、地域の魅力を広く発信することができます。
特産品のプロモーションにおいて重要なのは、その背景にあるストーリーを効果的に伝えることです。生産者の想いや地域の歴史、伝統的な製法など、特産品にまつわる物語を魅力的に発信することで、消費者の共感を得やすくなります。
また、地元の特産品を活かした新商品開発や販路拡大も重要な戦略です。従来の特産品に新たな付加価値を加えることで、より幅広い層への訴求が可能になります。例えば、静岡県の「わさびソフトクリーム」のように、伝統的な特産品を現代的にアレンジした商品開発が注目を集めています。
販路拡大においては、ふるさと納税制度の活用も効果的です。特産品をお礼の品として提供することで、全国の消費者に地域の魅力を知ってもらう機会となります。さらに、ECサイトの活用やSNSを通じた情報発信など、デジタル技術を駆使した販促活動も重要です。
地域PRを成功させるポイント
地域PRを成功させるには、地域の特性を活かしつつ、長期的な視点で戦略を立てることが大切です。
とくに以下のポイントは、地域PRをする上でとても重要になります。
● 明確な目標設定
● ターゲットの明確化
● ストーリーテリングの活用
● デジタルコンテンツの活用
● 地域の独自性を強調
これらのポイントを押さえつつ、地域の特性や課題に応じた独自の戦略を立案・実行することが、地域PRの成功につながります。
また、近隣自治体との広域連携や、SDGsの視点を取り入れた持続可能な地域づくりなど、新しい視点からのアプローチも検討する価値があるでしょう。
明確な目的設定
地域PRを成功させる上で、明確な目的設定は極めて重要です。具体的な目標を定めることで、戦略の一貫性が保たれ、効果的な活動が可能になります。
まず、地域PRの目的は多岐にわたります。観光客誘致、移住者増加、企業誘致、地域ブランドの確立、地域住民の愛着度向上など、自治体が抱える課題や目指す将来像に応じて設定します。例えば、人口減少に悩む自治体であれば「5年後までに20代〜30代の移住者を100世帯増やす」といった具体的な数値目標を掲げることが効果的です。
目的を明確にすることで、PRの対象となるターゲット層も自ずと絞られてきます。千葉県流山市は「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」というキャッチコピーを掲げ、30代〜40代前半の子育て世帯をターゲットに設定しました。
また、目的に応じたメッセージ策定も重要です。地域の魅力を漠然と伝えるのではなく、ターゲット層の課題やニーズに合わせた訴求ポイントを見出し、それを効果的に伝えるメッセージを作成しましょう。
ターゲットの明確化
自治体の地域PRにおいても、ターゲット層を具体的に定めることで、より効果的なメッセージ伝達が可能となり、PRの効果を最大化することができます。
まず、地域の特性や課題に応じたターゲット設定が重要です。人口減少に悩む地域であれば、若年層や子育て世代をターゲットにすることが考えられます。一方、観光振興を目指す地域では、国内外の旅行者や特定の趣味を持つ層をターゲットにすることが効果的でしょう。
また、ターゲットの細分化も重要です。「若者」や「観光客」といった大まかな括りではなく、「都市部に住む20代後半のキャリア志向の女性」や「自然体験を求める40代のアウトドア愛好家」など、より具体的に設定することで、的確なメッセージ作成が可能です。
そして、ターゲットを具体的に想定することで、そのニーズや行動パターンに合わせたアプローチが可能になります。
ストーリーテリングの活用
ストーリーテリングの活用は、自治体の地域PRにおいて効果的な手法です。地域の歴史や文化、人々の暮らしを物語として紡ぎ出すことで、単なる情報提供を超えた感情的なつながりを築くことができます。
ストーリーテリングの魅力は、地域の魅力をより深く、多面的に伝えられる点にあります。例えば、ある地域の伝統工芸品について、その技術が何世代にもわたって受け継がれてきた歴史や、職人たちの情熱、地域社会との関わりなどを物語として紹介することで、単なる「製品」ではなく、地域の文化や人々の生き方そのものを伝えることができるでしょう。
効果的なストーリーテリングには、「なぜ(Why)」と「どのように(How)」の要素を盛り込むことが重要です。地域の取り組みや特産品が「なぜ」生まれたのか、「どのように」発展してきたのかを伝えることで、共感や理解を深めることができます。
また、ストーリーテリングを視覚的なコンテンツと組み合わせることで、より印象的で記憶に残るPRが可能になります。美しい風景写真や地域の人々の表情豊かな映像、伝統工芸の製作過程を捉えた動画などを活用し、ストーリーに命を吹き込むことができます。
デジタルコンテンツの活用
デジタルコンテンツの活用は、自治体の地域PRにおいても重要な戦略として位置付けられます。SNSや動画といったデジタルプラットフォームを効果的に活用することで、広範囲にわたる情報発信が可能となり、地域の魅力を効果的に伝えることができるでしょう。
まず、SNSの活用について考えてみましょう。FacebookやInstagram、X(旧Twitter)などのプラットフォームを通じて、地域の日常的な風景や季節のイベント、特産品の情報などをリアルタイムで発信できます。これにより、潜在的な観光客や移住希望者に対して、地域の魅力を継続的にアピールすることが可能です。
動画コンテンツも、地域PRにおいて強力なツールとなります。YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームを活用することで、地域の風景や文化、イベントなどを視覚的に訴求力の高い形で伝えることができます。例えば、ドローン撮影による地域の絶景映像や、地元の人々の生の声を収録したインタビュー動画など、多様なアプローチが可能です。
また、デジタルプラットフォームを活用することの大きな利点は、コスト効率の高さにあります。従来のテレビCMや新聞広告と比較して、SNSや動画配信プラットフォームを利用したPR活動は、比較的低コストで実施できます。
さらに、地域の特産品をプレゼントするSNS投稿キャンペーンや、地域の魅力を写真で表現するフォトコンテストなど、参加型のプロモーションを行うことで、ユーザーの主体的な関与を促すことができます。これにより、地域に対する興味関心を高め、口コミによる情報拡散も期待できるでしょう。
地域の独自性を強調
地域固有の特産品、文化、歴史、自然環境などを前面に押し出すことで、他の地域との差別化を図り、独自の魅力を効果的にアピールすることができます。
そして、地域の特産品を活用したPRは、地域ブランドの確立に大きく貢献するでしょう。特産品のストーリーや生産過程を丁寧に伝えることで、単なる商品紹介を超えた、地域の文化や歴史を感じさせるPRが可能だからです。
また、地域固有の文化や伝統行事を活用することも効果的です。例えば、青森県の「ねぶた祭り」や京都の「祇園祭」など、その地域ならではの祭りや伝統行事を中心にPRを展開することで、地域の独自性を強く印象づけることができます。
これらの文化的要素は、観光客の誘致だけでなく、地域住民のアイデンティティ強化にも役立ちます。
地域PRにおける動画活用のメリット
地域PRにおける動画活用のメリットいくつかあり、従来の広報手法では実現が難しかった効果的な情報発信を可能にします。
また、動画によるメリットとして、主に以下のことが挙げられます。
● 短時間で多くの情報を伝えられる
● 地域の魅力をリアルに伝えられる
● 視聴者との感情的なつながりを構築できる
このように、地域PRにおける動画活用は、多面的なメリットを持つ強力なツールといえます。ただし、効果を最大化するためには、明確な目的設定やターゲット分析、適切な配信戦略が不可欠です。
地域の特性を活かしつつ、視聴者のニーズに合わせた戦略的な動画制作と活用が求められるでしょう。
短時間で多くの情報を伝えられる
動画は「視覚」と「聴覚」を同時に刺激するメディアであり、文字や静止画だけでは伝えきれない情報を豊かに表現可能です。その結果、視聴者は短時間で地域の魅力を、多角的に理解することができます。また、映像と音声を巧みに組み合わせることで、文字情報よりも強い印象を与えることができるでしょう。
さらに、動画は視聴者の興味を引きやすく、記憶に残りやすいという特徴があります。例えば、地域の特産品を紹介する際、その製造過程や職人の技術を動画で見せることで、視聴者の関心を高め、より深い理解を促すことができます。また、ストーリー性のある動画を制作することで、視聴者の感情に訴えかけ、長期的な記憶に残る印象を与えることも可能です。
また、近年のデジタル技術の進歩により、VRやAR技術を活用した動画制作も可能になっています。これらの技術を用いることで、視聴者に擬似的な体験を提供し、より深い理解と印象を与えることができるでしょう。
地域の魅力をリアルに伝えられる
動画は、地域の自然や文化、日常生活の様子を視覚的かつ聴覚的に表現することができるため、視聴者に深い印象を与えられます。
また、高画質カメラやドローン撮影技術の進歩により、地域の美しい風景や街並みを臨場感あふれる映像で捉えることが可能になりました。例えば、四季折々の自然の変化や、地域の象徴的な建造物を空撮することで、その地域ならではの魅力を壮大なスケールで表現できます。
その結果、視聴者は実際にその場所にいるかのような感覚を味わうことができ、地域への興味や訪問意欲が高まるでしょう。
また、地域住民の声を取り入れたコンテンツは、その地域の雰囲気をより身近に感じさせる効果があります。地元の人々のインタビューや日常生活の様子を映像化することで、その地域の人柄や生活の質を具体的に伝えることができます。
これは、移住を検討している人々にとって特に重要な情報となり、地域の魅力をより実感できる要素となります。
視聴者との感情的なつながりを構築できる
自治体の地域PR動画において、視聴者との感情的なつながりを構築できるかは、とても重要なポイントです。ストーリーテリングを効果的に用いることで、地域の魅力を単なる情報として伝えるだけでなく、視聴者の心に深く響く印象的なコンテンツを作り出すことができるでしょう。
また、地域の歴史や文化を物語として伝えることができれば、視聴者の共感を得やすくなります。例えば、地域の伝統工芸品が代々受け継がれてきた背景や、地域の祭りが持つ意味を物語形式で紹介することで、視聴者は地域の人々の思いや価値観を共有しやすくなります。
他にも、地域住民の日常生活や、地域の課題に取り組む人々の姿を描くことで、より身近で人間味のある地域像を伝えることができます。地域おこし協力隊の活動や、地元の若者が起業に挑戦する様子を描くことで、地域の活力や将来性を感じさせることができるでしょう。
感情に訴えるコンテンツは、視聴者の記憶に長く残りやすい特徴があります。地域の美しい自然景観と、そこで暮らす人々の穏やかな生活を組み合わせて描くことで、視聴者に癒しや憧れの感情を抱かせることができます。このような感情的な印象は、単なる観光情報よりも強く記憶に残り、リピート視聴や口コミなどの効果が期待できます。
自治体の地域PR事例
自治体の地域PRは、地域の魅力を効果的に発信し、観光客の誘致や移住促進、地域経済の活性化などを目指す取り組みです。成功事例を学ぶことで、自治体の広報担当者は自らの地域PRに活かすヒントを得ることができるでしょう。
ここでは、以下3つの自治体の地域PR事例を紹介します。
● 長野県東御市
● 茨城県石岡市
● 島根県飯南町
自治体の地域PR事業は、単なる情報発信にとどまらず、地域の価値を再定義し、新たな魅力を創造する取り組みといえるでしょう。成功事例から学びつつ、各地域の特性に合わせた独自のPR戦略を構築することが、効果的な地域PRのポイントになります。
長野県東御市
東御市の特徴的な取り組みとして、ワイン産業の振興が挙げられます。市は「東御ワイン」のブランド化を推進し、銀座NAGANOなどでのPR活動を計画・実施しています。
また、東御市は特産品の魅力発信にも力を入れています。巨峰や薬用人参など、地域の気候と土壌を活かした農産物もPR中です。特に、長野県の薬用人参生産量は全国第2位であり、東御市はその主要な生産地の一つとなっています。
シティプロモーション戦略の一環として、東御市は関係人口の拡大にも注力しています。首都圏でのPR事業や、東御市公式ファンクラブ会員向けのツアーを実施することで、市外の人々との継続的な関係構築を目指しています。
東御市の取り組みは、地域の特性を活かしつつ、時代のニーズに合わせた柔軟なPR戦略の好例といえるでしょう。特産品のブランド化、関係人口の拡大、若年層の巻き込みなど、多角的なアプローチで地域の魅力を発信し、持続可能な地域づくりを推進しています。
茨城県石岡市
茨城県石岡市は、豊かな自然と歴史的な背景を持つ地域であり、住みやすさと観光資源の豊富さが魅力です。石岡市は常陸国の国府が置かれていたことから、歴史的資源が豊富で、茨城県内で唯一「歴史の里」に指定されています。また、筑波山や霞ケ浦などの自然環境にも恵まれています。
石岡市は、地域の魅力を内外に発信するため、市民参画型のシティプロモーションを推進しています。この取り組みにより、市民の愛着と誇りを醸成し、地域活性化を図っています。
さらに、観光PR動画の制作などを通じて、全国的な知名度向上を目指しています。動画では「石岡とマッチしない?」というキャッチコピーで、市の魅力をユニークに紹介し、多くの視聴者にアピールしています。
島根県飯南町
島根県飯南町は、出雲神話のふるさととして知られる自然豊かな高原地帯に位置し、独自のブランドメッセージ「余白あります。」を掲げて地域PRに取り組んでいます。この斬新なメッセージは、都会の喧騒を離れ、自分らしい暮らしや新たな挑戦の場を求める人々に向けて、飯南町の魅力を効果的に伝えています。
さらに、このブランドメッセージを活用したロゴマークを町民にも開放し、地域全体でのブランディング活動を促進しています。
飯南町の取り組みは、単なる観光誘致や特産品PRにとどまらず、地域の暮らしそのものを魅力的に演出する点で注目に値します。
また、飯南町は行政と住民が一体となった地域づくりにも力を入れています。定期的に開催される町議会での行政報告や所信表明は、町の方針や取り組みを住民と共有し、協働の地域づくりを推進する重要な機会となっています。
これからの地域PR戦略に必要なこと
これからの地域PR戦略に必要なことは、デジタル技術の活用と地域の独自性を融合させた、より効果的かつ持続可能なアプローチです。
まず、デジタルマーケティングツールの活用が不可欠です。ターゲットオーディエンスの行動データを分析することで、より精緻な戦略立案が可能になります。SNSの利用傾向やウェブサイトの閲覧パターンを分析し、ターゲット層に最適なコンテンツや発信タイミングを特定することで、限られた予算でも効果的な広報活動を展開できるでしょう。
また、地域資源を活用したエコツーリズムを提案することで、単なる観光誘致にとどまらず、地域の環境保護や文化継承にも寄与する取り組みとなります。
さらに、最新テクノロジーを活用した新しい形での地域の魅力発信も重要です。360度パノラマ映像による仮想観光体験や、ARを活用した歴史的建造物の復元など、従来にない形で地域の魅力を伝えることも必要になるでしょう。
▶監修・解説:北川哲也氏
補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。
2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。2018年春に株式会社Link-Upを立ち上げ、士業サービスでカバーしきれないコンサルティングや顧問サービスをスタート。公益社団法人茅ヶ崎青年会議所の2021年度理事長や認定NPO法人NPOサポートちがさき参画など活動多数。